日本語の表現(意味)は、非常に難しいです。ここで、真作・贋作と本物・偽物の意味の違いを整理してみます。真作・贋作、本物・偽物の鑑定の話ではなく、あくまでも日本語の表現(意味)の話です。この話題は大変重要なことで、本物=真作、偽物=贋作と思っている方が多いと思いますが、違います。当ブログでは、誤解を生むような表現はできるだけしないほうが良いと思い、言葉の使い方については極力気を付けているつもりです。非常に解り難い話になりますが、ぜひ、一読してご理解してみてください。
・レプリカ
模倣品全般を意味します。 絵画・彫刻・工芸品など全ての模倣品を指し、複製原画(複製画)もこれに含まれます。違法な贋作も、模倣品なので、やはりこれに含まれます。
レプリカ(模倣品)でないもの=本物、レプリカ(模倣品)=偽物と仮定すると、真作・贋作と本物・偽物の意味の違いは以下のとおりになります。
・真作(≒本物)
間違いなくその人の作品であること。
レプリカ(模倣品)でないもの=本物は、当然ですが真作です。 ⇒ 真作=本物
レプリカ(模倣品)=偽物は、意図的に偽れば贋作ですが、複製原画(複製画)など意図的に偽らなければ本物ではない(偽物)ですが真作です。 ⇒ 真作 ≒ 偽物
・贋作(≒偽物)
他人を偽る意図をもって、レプリカ(模倣品)を作成すること。またはその作品。違法行為です。
ただし、レプリカ(模倣品)を作ること自体は違法ではありません。たとえば絵画では 、先人の画風を見て、それを真似て描くことは、学校の美術の授業などで、ごく普通に行われている行為です。偽る意図のないレプリカ(模倣品)は、一般的に問題視されません。レプリカ(模倣品)を真作と偽ると、違法になります。
レプリカ(模倣品)でないもの=本物は、当然ですが贋作ではないです。 ⇒ 贋作 ≠ 本物
レプリカ(模倣品)=偽物は、意図的に偽れば贋作ですが、意図的に偽らなければ本物ではない(偽物)ですが贋作ではないです。 ⇒ 贋作 ≒ 偽物
結論ですが、美術品の話をする場合は、誤解を生む可能性があるので、本物・偽物という表現は使わないほうが良いです。
例えば、複製原画(複製画)は、明らかにレプリカ(模倣品)で偽物ですが、あくまでも真作です。販売会社も、最初からレプリカ(模倣品)として販売しているので、贋作ではないです。購入者も、それを承知で購入しているわけですから。ところが、複製原画(複製画)を、本物と表現すると、レプリカ(模倣品)ではなく一点ものの何かという意味になり、誤解を生む可能性があります。
複製原画(複製画)については、明らかに真作・贋作という表現を使ったほうが良いです。本物・偽物という表現だと誤解を生む可能性があります。
サイン入りイラスト色紙についても、直筆物だけではなく印刷物もあるので、やはり真作・贋作という表現を使ったほうが良いです。本物・偽物という表現だと、複製原画(複製画)と同様に、誤解を生む可能性があります。
インターネットオークションでのサイン入りイラスト色紙・複製原画(複製画)の出品物の多くは、この辺の表現がかなりメチャクチャですので、購入する場合は気を付けてください。出品などする場合は、特に注意をして、誤解を生まないように。
ちなみに贋作の範疇でなくても、著作権利者の承諾を得ずに、勝手にレプリカ(模倣品)を作成して販売などしたら違法になります。
〈 追記 〉
当ブログを始めてわかったことですが、当記事は非常に人気があり、みなさんは真作・贋作の鑑定について大変ご興味があるようです。
真作・贋作の鑑定方法について、みなさんがご興味があるのは理解できるのですが、真贋鑑定方法については一切お話はできません。理由は簡単で、インターネットオークションで贋作が蔓延してる現状では、贋作制作の参考にもなりうる可能性があるからです。その点をご理解していただき、ご了承していただければ幸いです。
ちなみに、少しだけ真作・贋作の鑑定方法の話についてコツ程度ですが、「THE 1st ANNIVERSARY」の記事内で記述していますので、ご興味があるようでしたご覧ください。
「THE 1st ANNIVERSARY」
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